炭素繊維とは
炭素繊維は近年、航空機や高級自動車に部材として採用され出した事で知名度を上げている先端材料です。
もともと、宇宙産業用に開発されたものでよく耳にするのは「鉄の10倍強度が高くて、4分の1の軽さ」というキャッチフレーズが有名です。ただし、ガラス繊維と同様、この繊維だけの状態では材料として何の役にも立ちません。あくまで樹脂と合わさる事で本来持ちうる物性を引き出す事が出来ます。ここが複合材料といわれるゆえんです。
ガラス繊維製品をGFRP(Glass Fiber Reinforced Plastic)、
炭素繊維製品をCFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastic)、
と呼ぶ事が多いです。
炭素繊維 利用紹介
ガラス繊維と同様に成形型に対して炭素繊維を何層も重ね合わせて樹脂を含浸させる事で任意の形状に造形する事ができます。
(左図の写真はハンドレイアップ成形の社内試作品)
炭素繊維の物性を最大限引き出そうとする場合は高温、高圧下での樹脂硬化が条件になります。
ただし、製造コストも跳ね上がりますので、「誰でもどこでも」というわけには行きません。
当社では特殊な設備(オートクレーブ等)は持ち合わせていないため、本格的なCFRP製品を生み出す事はできません。ただし型屋の目線で、「弱い所の補強に炭素繊維を用いる」といった視点でケースBYケースで材料を利用しております。
実際にリブ補強的な観点でガラス繊維の上に炭素繊維で補強したという実績結果が左図になります。
炭素繊維は繊維単体でのコシが強いのでなかなか手で張り込むのが難しい材料です。こちらの写真では職人技欄で紹介させて頂いた「VaRTM法」を用いております。
硬化するまで真空圧下におかれるため、「繊維のコシの強さに負けて端がはねる」という事がなく、炭素繊維とVaRTM法とは互いの長所が生かされる組み合わせと言えます。
(意匠面に網目を出すような全層炭素繊維での実績はまだまだ、試行錯誤している段階です)